
「イギリスの犬たちは本当に幸せだなぁ」としみじみ思う。遠い遠い昔から犬と生活を共にしてきたイギリス人たち。彼らは、犬にとって何が一番幸せなのか?をよく知っている気がする。
広々とした公園を嬉々として走り回る犬たち。新鮮な空気と美しい風景を楽しみながらゆっくりと歩く飼い主。イギリスの公園でよく見られる光景だ。尻尾を振って嬉しそうに「ボール投げて!」とせがんでいる犬を見ると、思わず頬がゆるむ。
イギリスでは、散歩は犬だけの為に行くのではなく、飼い主と犬の両方が楽しむものなのだ。私も、春には花を楽しみ、秋には栗拾いをし、冬には雪遊びをする。泥だらけになった長靴を水溜りでチャプチャプ洗ったり。まさか、この年になって、こんな毎日を送るとは想像もしていなかった(笑)。
イギリスは確かに犬びいきな国だ。だが意外なことに、犬連れで入れるレストランやパブは皆無である(ただし外のテラス席はOK)。でも、正直言ってさほど不便には感じない。レストランやカフェに行き、テーブルの下で犬を待たせるのではなく、一緒に公園に行き、一緒に泥んこになって楽しむ。それが、イギリス流。そもそもイギリスには、お洒落なカフェが似合う犬なんてあんまりいない(笑)。飼い主も犬も、何と言うか、こう、土臭いのである。
散歩中、いつも公園で見かけるジャックラッセルテリアの飼い主さんに会った。「あれ?今日はおじさんだけ?」と思っていると、「うちの犬、亡くなったんだよ。」と。私は「I’m so sorry…」(お気の毒に…)と言ったきり、ショックで言葉を失ってしまった。何と慰めたらよいのか、わからなかったのだ。すると、おじさんは私の心を見透かしたように、ニッコリ笑って誇らしげにこう言った。

「That’s all right. He was 14. He had a good life.」(いいんだよ。彼は14歳だった。いい犬生を送ったんだよ。)
幸せだったんだな、あの犬…胸がいっぱいになった。本当の幸せとは何か、教えて貰った気がした。私も「その日」が来るまで、犬たちと思い切りロンドンの公園を走り、泥にまみれよう。そう誓った。
ミリアン
犬とワインを愛するイギリス在住の専業主婦。
サッカー好きの夫と、暴れん坊のボーダーテリアのマックス、ワイヤーフォックステリアのF坊と共にロンドンの隅っこで暮らす。
マックスを迎え入れた時にブログを開設。パピー時代の躾奮闘記、湖水地方旅行記、お散歩中の出来事などをのんびり更新中。







